NHKスペシャル「女と男〜最新科学が読み解く性〜」

http://www.nhk.or.jp/special/onair/woman_man.html
けっこうおもしろかった。
一部、男女差を狩猟時代に還元した説明を丸呑みにしているのがきにかかったがあとはとくに問題ないレベルだったと思う。
第一回は、夫婦の離婚の原因がコミニケーションのパターンにあるとう分析があってこれはっこう使えるなと思った。
第二回も、性差があるけど違う攻略を道いることで同じ能力を出せる、と強調していたのが好印象だった。
建築家になりたい少女が男女別数学クラスで特訓する話もあった。
こういうのは、往々にして性差別や性役割分担論につながりやすいのでさすがNHKというところ。

まだ男女差を説明する定説は存在してない。その点、NHKはあたかも狩猟時代の役割分担が原因としていたがそれはちょとだめだとと思った。立派なCGをつくってしまったので定説にしたかったのだろうか。

あと気になったのは、アメリカの数百の小学校で男女の性質に基づいた、男女別授業が展開されていることだ。科学に基づいているというより、より効果のありそうな方法があったからとびついたという感じだろうか。逆に男女差をあおってるようにもみえる。もしもっと一般化すると、男女差が生得的な要因によるのか調べにくくなってしまう。

(追記)この番組について認知神経科学者のvikingさんがエントリをあげています。
男女差があること自体定説がないみたい…
http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2385

科学者の常として、「男女差はあるのか?」という問いに対して「ない」と断言することはできません。ただ、それが非常に微妙なものであることは以前のエントリでもreviewした通りです。また、あまりにも微妙な差であるがゆえにその研究の進捗も遅々たるものでしかありません。例えば、僕のようなヒト認知神経科学&脳機能画像を専門とする研究者が日常的に目を通すような主要ジャーナルに限っていえば、男女差を扱った研究はPubMedに引っかかる範囲でも120件しかないのです。それらの論文の内容とて、大半は番組内で報じられたような「進化を背景とした男女の情報処理プロセスの違い」とやらなどではなく、もっと基礎的な神経科学的な知見を扱っているものに過ぎません。テーマを”visual perception”に変えると2279件に達することからも、その発展途上ぶりがうかがえます(ちなみにPubMed自体は1800万件を超える学術論文のデータベースです)。

なるほど。NHKは一部の科学者の主張をコンセンサスと勘違いしてか、わざとか大々的に放じてしまったんですね。

(追)どうでもいいことですがgoolgeで「茂木健一郎 あいのり」とか「茂木健一郎 男女脳」で検索するとこのblogが1ページ目に表示されるようになりました。検索に引っ掛かりやすいのがはてなの強みですね。