ニセ脳科学者

http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2682

にもかかわらず、現代においては目先の利益や単なる売名のためだけに神経科学の実像を歪めて人々をミスリードし、その反動として「神経科学なんて信用できない学問だ」と人々から侮られるような事態を招きかねないような行動を取る怪しげな個人・集団が少なからず見受けられます。そのような、神経科学を貶めるような動きを看過するわけにはいきません。神経科学という学問を人類の役に立てる日まで守り育てるためにも、そういうムーブメントは神経科学者自身が監視し、抑えていくべきなのではないでしょうか? 正しい学識を社会に提供し、誤った言説を否定するのも、同じくらい重要な研究者の社会的使命だと思いますので。

いや、ほんと一部のニセ脳科学者のおかけで知性の高い人の「脳科学」のイメージがとことこん下落している。

http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php?n=070804023322

と、結局は宣伝になりますが、前述の通り、ワタクシ茂木健一郎先生の次の対談集に登場しております。銀座アップルストアでの、3時間に及ぶ対談からの一部を掲載した物ですが、これはもう言うまでもなく華麗なる茂木ワークス。ワタシが脳学に対して、慇懃な口調でボロカスやってる所は爽やかなまでの全カット(笑)っていうか、ワタシのヤバ面白い部分は奇麗に丸刈り全カット(笑)。結局「何となく新しく面白そうな(その実、ずいぶん古く、ほとんど面白くない)価値観を、何にも知らない一般人にプレゼンテーション」という皆さんご存知のアレだったのですが、これにワタシがちょちょいと捏造を加え、ちょいとばかし面白くして掲載されます。「人生って全部即興だよね!」「ジャズのアドリブやってる時って、脳はどんな風になってると思いますか!」と開口一番言われた時は唖然としてしまい、「えー。わかりません」としか答えられず(笑)、いつものバカぶりに輪がかかってしまったからであります。

楽器の演奏時の脳の状況は、ちゃんと研究すればかなり興味深いものなのに、茂木健一郎が言うことでそれ自体がばからしい研究とみなされかねない。

一般に、基礎科学研究というのは単一の研究そのものだけでは重要性やその意義を理解することは難しいものです。そこで過去現在に他のグループによって行われた研究を引用・参照し、その研究に至るまでの文脈を形成することで理解しやすくするというのは、研究業界では当然の流儀です。それをしないということから察せられるに、似非脳科学者はもっと優れた研究が出ていると世間に知られることで自分の名声が損なわれるのではないかと恐れているのではないでしょうか。

これは、逆にいえばある事柄が「科学的真実」として成立するには一つの論文や実験じゃあ無理ということ。このことを無視したのが、○○の実験で〜〜なった。だから…と単一の論文をもとにして議論をすすめていくこと。人文系の学者なんかが自然科学の業績を引用してなんかいおうとするときにも散見される。