脳に関する学問について
以下のはなしは基本的に以下の本のまんまの主張です。
- 作者: 渡辺茂,小嶋祥三
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/03/28
- メディア: 単行本
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- 作者: ジョンピネル,John P.J. Pinel,佐藤敬,泉井亮,若林孝一,飛鳥井望
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2005/06/01
- メディア: 単行本
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生理心理学は、イメージしやすい。対照実験によって脳を外科的、伝記的に直接操作し、主に行動の神経制御の理論の確立を目指す。つまいり、脳に直接電極を差すあれだ。もちろん、ヒトの侵襲的研究は倫理的に問題があるので研究対象は基本的に動物になる。ポイントは直接脳に電極を差す侵襲的研究。
精神薬理学は、薬物をつかって神経活動や行動を制御する。脳ー行動の基本原理を研究する場合もあるが、多くは薬剤開発などの応用分野である。ポイントは薬。
神経心理学は、患者の脳障害がどう心理的機能に影響しているか研究する。もちろん、ヒトにわざと脳障害を起こすことは倫理的に無理なので、交通事故や外科手術を受けた患者を研究対象とする症例研究になる。これも応用的で、脳に損傷のある患者の心理機能の医学的診断などに貢献している。ポイントは損傷研究。
精神生理学は、ヒトの心的過程と生理的機能の関係性を研究する。つまり、体の表面を測定することで、心理活動を記録する。方法として脳なら脳波(EEG)のほか、筋緊張や眼球運動、皮膚の電気抵抗などを指標として計測する。
神経科学は1960年代にアメリカで、生理学や薬理学の神経にかかわるいくつか分野から生まれた。神経科学といってもその範囲は広く、一個の神経レベルの細胞の分子レベルから、系レベル、行動レベルの解析まである。しかし、神経科学の基本的な問題意識は神経の解明であって、心の解明ではない。行動やこころを研究するといっても、あくまで神経の機能としての行動、心的研究である。
認知神経科学は、、神経科学の一分野だが、記憶、思考、注意といった高次機能である認知の基本的神経機構を研究する。つまり、通常の神経科学とは逆に、神経の機能として認知の解明を目指す。方法としては、ヒトの脳損傷研究や、脳機能画像研究、動物の脳研究がある。たとえばdyslexiaの患者の脳と普通の人の脳の機能画像を比べて、ある言語活動時に脳のどの部分が相対的に活性化するかなどをみる。