生涯収入で、本当に東大生は聖心に負けるのか


週刊 東洋経済 2009年 10/24号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2009年 10/24号 [雑誌]

オンラインでとっている東洋経済の大学ランキングを見た。

1位となったのは神戸女学院大学兵庫県西宮市にあるミッション系の伝統校だ。昨年も4位にランクインしていたが、今年は在京の共学校を抜き去りトップに立った。生涯給料が比較的高い金融系企業に4分の3が就職したのがランキングを押し上げる結果につながった。
 2位は昨年と同様、聖心女子大学。こちらも金融系企業への就職が対象者の3分の2に及ぶ。3位は昨年1位の一橋大学。ベスト10までに8校が入るという、女子大が大健闘した結果となった。共学校は慶應義塾大学が8位(昨年4位)、東京大学が12位(同3位)などにとどまった。

 こういう生涯収入ランキング見て思うけど、全く参考にならないよね。なぜか、高位には二流女子大が多数ランクイン。女子大といってもお茶の水とかじゃない。高偏差値大学では、3位の一橋はいいとして、8位に慶応、12位に東大だ。東大卒や慶応卒の人(特に女子)はこれを見て複雑な気分になるに違いない。高校時代ろくに受験勉強もせずにのんびりしていた同級生に負けるとは。だいち、彼女らは大学時代いや、もっと前から玉の輿を狙って偏差値の高い大学の男子と付き合うことしか考えていなかったじゃないか*1。企業に入っても自らは努力せずに出世しそうな男子を狙って、あっという間に寿退社してしまうに違いない、と。そのようにあまりよく主わない難関大出身女子はすくなくないかもしれない。
なんでこのような結果になったのか、ランキングの算出方法を見てみると、

ランキングは、今年3月卒業生の主な就職先企業の生涯給料を、企業の平均年収や厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査(2008年)などを使って推計。それを就職人数で掛け合わせ、加重平均して大学別の生涯給料を算出した。参考までに30歳時点の推計年収も掲載している。

 要するに「就職した企業の平均生涯収入」×「そこに就職した学生の割合」ということらしい。当然、多くの学生が平均生涯年収の高い企業に就職した大学が高位にランクインする。
 だが問題点は、第一に、「企業の生涯給料」をかけ合わせている点。おそらく企業で平均されているので、総合職と一般職、事務職の給料の違いを反映しない。これでは、平均生涯年収3億の企業の一般職に就職した某女子大生に、2.5億の企業の総合職の東大生は、「生涯収入」で負けることになってしまう。
実際、

こうした結果の背景には、各大学のキャリア戦略の成果もあるが、この年の卒業生(09年採用)は、売り手市場の最後の年で、金融系企業を中心に大手企業が採用数を大幅に増やしたことが挙げられる。そして、その広がった枠を女子学生が確実にものにしたことが結果につながった。実際、神戸女学院大や聖心女子大の3大メガバンクなどへの就職実績は前年の倍近い数字となっている。

 やっぱり一般職を多くとる年収の高い金融系に多く就職した結果のようだ。
 また、一番の問題点は「生涯収入」とうたっておきながら、勤続年数や出世の仕方、スピードを無視している点。参考までに30才時点での推定平均年収も載せた、とあるがトップテンに入った女子大出身者のうち、いったいどれほどが30まで会社に残っているのだろう。ましてそのうちどれだけが競争に打ち勝って出世するのだろう。
 以上の点をきちんと考慮して、算出しなおせば、結果はガラリと変わるに違いない。それはもしかしたら今回のランキング算出の倍以上の時間がかかるかもしれない。でも、そうした点を考慮していないランキングは単に無意味だからやってもしょうがない。
 もちろん、以下のような

最近の採用現場では「女子のほうが積極的」という話がよく出る。このランキングにも、女子学生が収入など将来のキャリアを積極的に見据えている現状が表れている。

 点を否定するつもりはない。「将来のキャリア」なのかは別として将来を見据えている人は多そうだ。

*1:大学時代に、狙っていた同じ大学の男子をいかにも女の子らしい女子大の人に取られるとすごく悔しいらしい。高偏差値ゆえの悩み。