フリーライダーより家庭の負担が問題

http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20090314/p1

また、大体、企業が公教育にフリーライドすると言うのは、そもそもそういうレベルではないのではないか?企業は、幼稚園・小学校・中学校といった段階から、その労働者がこれまで身につけた「教育」に雇用者はフリーライドしているんだから、高等教育だけ持ち出されても、って感じはする。初等・中等教育には、日本の公共支出は先進国としては少ないとはいえ、それでもGDP比で約3%の予算を投入しているのだから、極一部の企業が中等・高等教育の極一部を負担したからといって釣り合わないだろう。ちなみに、高等教育の公共支出はGDP比で約0.5%。*1高等教育にかかるお金の桁って言うのは、初等中等教育よりも少ないのだ。

しかし義務教育ってことになると法人税という形で多少は協力していることになる。あと大事な点を忘れている。高等教育の公共支出が少ないということは、各家庭が負担しているということだ。確かにそうなると、経済学的な意味でのフリーライダーではないのかもしれない*1が、企業が高等教育を負担せずにそのうまみを享受している点は同じだ。

http://d.hatena.ne.jp/touhou_huhai/20090310/companyschool

民から民への寄付はあいだに「官僚」という名の中間鎖搾取者がおらず、効果的に資金の投入先を選ぶことができ、使途を把握しやすいという意識から、税金で納めるくれーならメセナしてやるよファック!っていう豪気な企業は多かった(過去形)

分かってないな…CSRという魅力的なオタメゴカシは脇に置いて、企業にとってもはや、現在の高校進学率9割超、大学・専修学校進学率7割弱という状況を維持するメリットはない、って言ってるんだ。一番しっかりと受け止めてほしかったのは、すでに大企業が国内の企業内学校を縮小する一方で、インドやブラジルなどで新たに設置を始めたという事例が象徴するもの。もはや大企業が「国産」のコスト高な技術者、熟練労働者をさほど大量に欲してないという事実なんだ。

 だとすれば、じゃあもうちょい税金はらえ、ということになるが、そうすると今度は本体まで海外に流出しかねない。

といってもホワイトカラーに関していえば、まだ日本の高等教育機関に頼る面があるわけで(そうでないなら新卒を国内で採用しない)、フリーライダーといういことになる。しかし、この場合も法人税を吊り上げるわけにわいかないだろう。


ぶちゃけフリーライダーそのものが問題だとは思わないし、単純に企業の負担を増やすのは今後ますます難しくなるだろう。それはしかたないとして、問題なのは、とくに高等教育の各家庭の負担がでかい、という点である。結局、公共支出でやるとしても、税金増やすのだから同じだ、と思うかもしれない。しかし、負担者が微妙に違う。現在子供をもっている家庭のみか、国民全体がという点だ。こういう点を放置して、出生率があがってほしいなんて、そんな都合のよいことおこらんよ。

(追)ああと、寄付やると税金免除ってのを活発化させた方がいいのは確か。アメリカだと教会の献金も、牧師に領収書を求めるときいて驚いたことがある。それが所得税からひかれるらしい。

*1:じゃあ各家庭が高等教育に「投資」するメリットはあるのかというと、そこまでないんじゃないか。そりゃ中高一貫→東大とかなればよいが。実際、学校の質は生徒の学力に関係ないというアメリカの研究がある