[脳[心理学]MR.BRAINと「神経神話」とfMRI

 まだ番組は見てないがキムタクが番宣でしゃっべってるのを見る限り、この番組でつかわれている「脳科学」はどうやら「神経神話」の方を指しているんじゃないかと思った。以下の基準に引っかかるだめな例。http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2682目についたのだけでも
・左目(の一部)しか見えないようにできているサングラスを使うと、左目は右脳が支配している右脳がよくなる。 まず左目じゃなくて、左視野、だね。(追記)ドラマでは視野といっている。もっとも左視野を使うことで右脳が鍛えられる(そもそも「鍛えられる」とは?)というのは飛躍しすぎ。
・両手を合わせたときに左手の親指が上にきたら、右脳派で芸術系だ。
 右脳神話。半球差があるとわかっているのは言語などのほんの一部。芸術なんていう雑多なくくりであるわけじゃない。ちなみに、音楽に優れている人は、音をきくときに左脳をつかっている、というNIRSかなんかの研究もあったな。ようは高度な処理を行うときに左でやってんじゃないかということらしい。
・人間の脳はまだ5%しか使ってない
 だったら何もできない(笑)。人間の脳のまだ5%しかわかってないというのなら正しいだろうが。使わない回路ってのが仮にたくさんあるとしたら、それが存在する自体が神経の伝達効率を落としていて、ある種の障害を引き起こしていていてもおかしくない。実際、乳幼児の神経で、のちに不要になる神経が刈り込まれることによって子供は成長する。たとえば自閉症はこの刈り込みがうまくいかなないことで起こることがわかっている。これがオープニングで使われてるってどうよ。


 まあ、あとは見てから。ただCSIBONES好き人間からしてみれば、この手の番組に「正しい科学的知識」を期待するのは間違いで、大事なのは科学っぽくておもしろいかどうかだと思う。ただ、それでも自分の知っている知識からいって間違いだと判断できるものが根拠として出てきた場合めっちゃ、興ざめする。マイアミかベガス編だったかCSIで、17世紀に開国したから日本刀は使われてない、だったけか完全にうろ覚えだけど、日本刀の年代が犯人特定のキーになったときに、あきらかに間違いと思える記述があったのは白けた。こういうのがあると自分の知らない分野も結構いい加減な知識にもとづいてるんじゃん、と思わせてしまう。まあ別に私は認知神経科学の専門家でもないし、最新の研究に詳しいわけでもないですが、気付いた点を書いてみようかと思う。


ちょっとだけ見ました。やっぱ、いくらドラマ自体おもしろくてもキーとなる部分におかしなことが使われてないといいが。
 九十九博士によれば
・人間はウソをつく時、論理的な整合性とかいろいろ考えをめぐらすので、左脳を使う
・左脳を使うので、右上の方をみる
らしいです。嘘をつかなくても言語をつかえば左脳にある言語野が活性するんじゃないかとかつっこんではいけませんよ。
・一度みたものをもう一度見ると海馬傍回が活性化する
 これはまんざら嘘ではなくて、確かに海馬傍回は、自伝的記憶にかかわらず記憶の想起一般に関係する。ただ別に想起に関連するのはこの部位だけではないし、実用レベルで脳部位をなんらかの判断につかえるほど研究はすすんでいないのではないか。もっといくら研究がすすんでも、脳画像が裁判に使えるほどの証拠になるのか疑わしいが。
http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/tbs-4a89.html

ただ、「脳は絶対にウソをつけない」といったセリフや、ラスト前の高嶋政伸を犯人だと断定する為のfーMRIを使った実験の描写は、「特定の脳内状態が、自白や物的証拠に並ぶくらいに犯人の記憶や感情と密接な関連性がある」と、一般の視聴者に誤解させる可能性が高いとは思いました。
私はそこは非常にマズいと考えます。
投稿: 内海 | 2009年5月24日 (日) 01:29

というのはごもっとも。


で、functional MRIで脳画像をとろうというのだが
あれってfMRI装置じゃなくね!?
 別にfMRIつっても基本装置は構造をとるやつと同じなので、これは普通に医療用のMRIに入ったことがある人ならわかると思う。ほら穴みたいなのに頭をつっこむ、あれがMRIではなかったのか。なんなのあの光、ちょっとかっこよいけど。あと非常にうるさいので耳腺は不可欠だ。あれは、いったいなんだったんだろう。ドラマ用です、といわれれば何もいえないが、これからずっとあれをMRI装置として使うのだろうか。

いや、刺激の提示が短すぎてMRIの時間分解能じゃ測れないとか、ちゃんとした解析が終わってから判断すべきだとか、科警研が莫大な維持費がかかる(が犯罪捜査への効果は疑わしい)MRI装置をもてるのか、とか野暮なことはいいません。科学ドラマとしてせめて表面的な体裁はもうちょい整えてほしいかな。

あとどうでもよいがfMRI(エフエムアールアイ)ってよく言えるな。私は一度もかまずに言えたことはなかったので、MRIとかfunctional MRIと呼んでいた。
(追記)
全部見ましたが、全体として右脳、左脳神話に基づいていて、話の筋はおもしろいのに見るに耐えない(とはいいすぎだけど)ものになっている。アリバイのうそをあばくのも、主張先を調べればすぐわかる話で、科学の話を出すほどのことはないはず。また結局、本人が「見たことがない」と証言したのがポイントで海馬傍回の話関係ないじゃん。せっかくあれだけの役者を使っているのに、話の筋に関係ないところでつまずきをつくるのはもったいない。誰かまともな学者に監修してもらえばよかったのに。なんつーか、科学使うのはいいけど一般常識(誤解)に毛が生えた程度の話ではちょっとね。あと、最初テロ事件に巻き込まれるというのは相棒の第一話に酷似しているのはパクリか。


(追記)コメント欄でchomsさんからオープンタイプもあるとの指摘がありました。機能画像用に使われているのか知りませんが、だとしたら非常に画期的だと思います。あとタイトルは恥ずかしいので修正しました。また検索見ると、MR.BRAIN 批判 とかで来ている人も多いので、説明を追加しました。

(追記)まくんさんによると、やはりオープンタイプは磁場が弱いらしく機能画像は無理みたいです。MRIじゃない、の前にfを追加しました。

まあ、もうちょい自分で勉強してみよう。